債権総論
第5 責任財産の保全
債権者代位権(423条)
意義
債務者が自己に属する財産権を行使しない場合に、債権者が債務者に代わってその権利行使することにより、債務者に対する債権を保全する制度。
メリット
債務名義不要。取消権、解除権などの執行の目的にならない権利の代位行使可能。
要件
@債権者が自己の債権を保全する必要性がある
原則 無資力 例外 転用
A債務者が自ら権利行使しないこと
B原則として債権が弁済期にあること
例外1裁判上の代位2保存行為
C代位の対象となる権利 財産権・強制執行(差押え)可能な権利
行使上の一身専属権不可
☆代位権の転用 無資力要件不要
特定債権保全のための特定債権の代位行使○ 登記請求権、妨害排除請求権
金銭債権保全のための特定債権の代位行使○ 共同相続人の移転登記請求権
金銭債権保全のための金銭債権の代位行使△ 被害者からの加害者の保険会社に対する 保険金請求権
行使方法・範囲
@自己の名
A債務者の権利の範囲に限定
B債権の保全に必要な限度 原則被担保債権の範囲内
効果
@債権者が代位権の行使に着手し、通知した後は債務者はこれを妨げる行為はできない。
A効果は全て債務者に帰属する →総債権者の共同担保
B判決の既判力は債務者に及ぶ。
債権者取消権(424-426条)
意義
債務者の一般財産を保全するために、これを不当に減少させる債務者の行為(詐害行為)の効力を取り消し、かつ逸出した財産の取り戻しを目的とする制度。
性格
詐害行為を取り消し、かつ逸出した財産の返還を請求する権利(通説判例相対的無効説)。
形成権説(取消)、請求権説(取り戻し)、相対的無効説(取消+取り戻し)。
要件
1)客観的要件 債権者を害する法律行為
@債務者のなした法律行為で、財産権を目的とする。
A債権は原則として詐害行為の前に成立すること。
B行為時、詐害行為時共に詐害していること。
C総財産の+−のみでなく、主観的態様その他を総合して決める。
2)主観的要件 債務者および受益舎または転得者が詐害の意思を有する。
詐害の意思とは、総債務者に対する弁済のために資力の不足をしていること。
行使方法
@訴えにより
A受益者または転得者に対して
B取消権者の債権額を限度で行なう。
効果
@相手方との関係のみで詐害行為の効力を失わせる。
A総債権者のために生じる。
時効(426条)
知ってから二年
詐害行為から二十年
▲このページtopへ
|