債権総論
第一 序論
第1 私権における債権の地位
私権の区別(性質)
・内容・利益基準
人格権 身体・自由・名誉・貞操・氏名等を目的とする私権
身分権 親・子・夫・妻等の身分上の地位に基づいて与えられる権利
財産権 一定の財貨を目的とする権利
社員権 会社その他の社団の構成員としての権利
・権利の作用基準
支配権 一定の物(有体物、無体物)を支配する権利物権、無体財産権、
請求権 人に対して一定の給付を請求する権利、債権 物の取引
形成権 一定の法律効果を発生させる権利 取消権、解除権
抗弁権 権利の行使の効果の発生を妨げる権利 同時履行の抗弁権、保証人の催告・検索の抗弁権
・権利の効力が誰に及ぶか
権利の本来的効力
絶対効(対世権)物権
相対効(対人権)債権
権利侵害の場合の保護様式 不可侵性
第2 債権の本質
1 債権の意義
債権は財産権、請求権、対人権である。
債権
特定人が特定人に対して一定の給付(財産上の行為)を請求できる権利
2 物権と債権の性質の差異
民法総則 債権 (債権総論、債権各論)
物権 (物権、担保物権)
・債権
資本主義社会の生活秩序を実現するための法が民法である。→
資本主義社会の生活秩序は一定の財貨の私的支配と一定の財貨の自由な交換が法的に保証されて成立する。→
民法の役割は、所有権と契約を中心として資本主義の生活秩序に適合した財産関係を実現すること→
債権法は契約を中心とする財産法
債権 一定の財貨の自由な交換→
交換、給付を実現するためには常に他人の行為がなされることが必要
現代社会は自由意思が前提→
複数の特定人に対する同一内容の債権の併存が認められる→
債権には排他性なし→
・物権
一定の財貨の私的支配
支配権たるためには他人の手をかいさずに自らの手で権利内容権利内容を直接に実現し得ることが必要(使用・収益・処分)
第3 債権法の体系
債権に関する法現象
債権の成立 債権がいかなる要件のもとで成立し
債権の効力 成立した債権がいかなる効力を有し
債権の消滅 有効な債権がいかなる効力を有し
債権の移転 成立から消滅の間に成立した有効な債権が売買その他によって譲渡されたり、債務が第三者によって肩代わりされたりする現象
成立 主体 人、法人、代理
客体 債権の目的
発生原因 法律行為、契約、事務管理、不当利得、不法行為、
効力 債権の効力、多数当事者の債権関係
消滅 債権の消滅、取消、条件、期限、消滅時効、
解除、相続の放棄、法律行為
移転 債権譲渡、債務引受
第4 債権法の特質
1 債権は請求権である。自由意思が前提→
排他性がない
第三者に影響少ないから当事者意思を尊重(平等な人間の存在を前提)→
債権法は任意法規→
資本主義の発達により実質的不平等のため任意法規現象
債権法は請求権であるから、本来信義則に訴えずに完全に目的を達せない→信義則は債権法につき強く働く原理である
第5 債権法の歴史
ロ−マ法
→学説集成、法学提要
→16、17世紀 西欧におけるローマ法の継受
・ドイツ普通法
→第一法案(1887)
→第二法案(1895)
・フランス慣習法
→デュムラン
→ポティエ
→フランス ナポレオン民法典(1804)
日本民法
明治維新(1886)
民法改訂作業始まる 明治3年(1870)
ボオソナアドに民法典起草委託 明治12年(1879)
→日本旧民法 明治23年(1890)
旧民法公布 明治23年、施行予定 明治26年(1893)
法典論争 施行延期
法典調査会(穂積陳重・富井政章・梅謙次郎)明治26〜28年
公布 明治29年(1896)
フランス民法+ドイツのパンデクテン(体系
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