債権総論
第1章 債権の目的(§399〜411) 民法有斐閣双書
第1 序論
・債権の目的 給付
給付の意義:債務者のなすべき行為
・給付の内容
1 債務者の行為自体を内容とする給付 なす債務
作為債務
不作為債務
債務者の行為よりも物を引き渡すこと自体を内容とする給付
与える(作為)債務
2 可分給付・不可分給付 3一時的給付・継続的給付 4代替的給付・不代替的給付
5 結果債務・手段債務
・給付の要件
確定可能性、可能性、適法性(公序良俗、強行法規に違反しない。§90,91)
金銭に見積もらなくても良い。399条 下級審判決 念仏供養を行なう旨の契約は外形上 の行為なので有効である。
・民法の規定に挙げられている、給付に関する補充規定
特定物債権、種類物債権、金銭債権、利息債権、選択債権
補充規定⇔強行規定
定義
1 特定物債権:特定物の引渡を給付の内容とする債権
2 種類物債権:種類と数量とだけが定められていて、具体的にどの物を給付するかは確定していない債権
3 金銭債権:一定額の金銭の支払いを目的とする債権
4 利息債権:利息の支払いを目的とする債権
5 選択債権:数個の異なる給付が選択的に目的とされ、後に選択によってそのうちの一個の給付が目的となる債権
第2 特定物債権
400条
特定物債権:特定物の引渡を給付の内容とする債権
「引渡をなすまで、善良な管理者の注意義務をもって、その物を保存しなければならない。」400条
→ 違反した場合には、債務不履行となる。
→ 遵守した場合は、債務者は、特定物の滅失・毀損の責任を負わない。
「善管注意義務」(抽象的軽過失)
当該行為について、職業・地位・立場における標準人がなすべき注意義務
「引渡をなすまで保管する」
保管 滅失毀損から保護し、物の経済的価値を維持すること。
判例 受領の遅れた売買の目的物たる生繭を乾燥繭として保存するべきと判示した例(大判大7・7・31)
対比 自己の財産におけるのと同一の注意 657、659条
重過失 著しい不注意
第3 種類物債権
401条 種類物債権:種類と数量とだけが定められていて、具体的にどの物を給付するか は確定していない債権
中等の品質 401条T項
制限種類債権:同一種類のなかで更に限定がある場合の種類債権
判例 製鉄会社の構内に貯蔵してあったタ−ル2000トンを漁業用として売買の目的物とした場合(最判昭30・10・18)
種類債務の履行 → 履行期までに特定する 確定
特定の方法 401条U項
@当事者の合意 A債務者による債権者の同意を得ての給付物の指定 B物の給付をなすに必要な行為の完了
持参債務 目的物を債権者の住所において現実に提供 判例鱈の売買契約(大判大8・12・25)
取立債務 債務者の住所で取り分けて、債権者に通知
送付債務 履行地・第三地 義務 第三地での提供
好意 発送および発送通知
特定の効果
「その後その物をもって債権の目的物とする。」
特定物債権の成立 → 通説 特定物債権に転化する。
その物を引き渡す義務、その物についての400条の義務、危険負担についての債権者主義 (534条U項)、所有権の移転(176条)、
変更権の消滅 例外 信義則
瑕疵あるものを提供した場合特定するか。
第4 金銭債権
402条〜403条
金額債権
履行遅滞 419条
金種債権 絶対的金種債権 特定金銭債権
第5 利息債権
404条〜405条
利息:元本債権の所得として、その額と存続期間とに比例して支払われる金銭その他の 代替物
基本権たる利息債権→元本に付従する
支分権たる利息債権→元本と独立 (独立して時効、分離して譲渡)
法定利率
約定利率
利息制限法1条U項
超過利息の扱い 元本残存→元本充当
元本完済→不当利得返還請求 判例
★ 貸金業者による貸し付け貸金業法43条
第6 選択債権
406条〜411条
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