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債権総論

多数当事者の債権関係
分割債権債務
多数当事者の債権債務関係の原則形態 427条
何故か 個人主義
(1) 対外的効力(誰に、あるいは誰が幾ら請求するか、誰に幾ら弁済するか) 
 原則 平等 例外 意思表示のあるとき
(2) 一人に生じた効力は他に影響しない。
不可分債権債務 428条―431条
種類
性質上不可分の場合
 給付自体の不可分な場合
 共同不可分に受ける利益の対価の場合 数人共同して賃貸ないし賃借
当事者の意思により不可分の場合
 不可分債権の効力 
(1)債権者誰にでも全額の履行=弁済、債権者は誰でも総債権者のため全額請求
(2)一人に生じた事由は、請求・履行以外は相対効 429条
(3) 内部関係は平等が推定される
不可分債務の効力
(1)全員が全額履行=弁済義務、全員へ全額履行を求められる
(2)連帯債務の規定が準用 430条 原則 相対効
(3)内部関係平等推定
連帯債務
意義
数人の債務者間に協力して債務を弁済するという主観的な共同関係がある場合
(1) 債権者から各債務者に全部請求できるし(債務者側から全額弁済も可)、
(2) 一人に生じた事由の効力は他人に効力を与えないのが原則(440条とするも)も他の債務者に影響するという絶対効の規定(434条から439条)がある。
(3) 負担部分とセットで求償関係がある
連帯債務の性質は数個の独立した債務であるから、利息や期限が異なっても良い。
連帯債務の項で覚えておくべき他の概念
「連帯債権」、「不真正連帯債務概念」
連帯債権の意義
債権者が複数で連帯債務に対応する場合。明文はないが特約でこれを生じさせても良い。実例としては、不動産媒介契約における元付け業者(売り主側)と客付け業者(買い主側)との報酬債権を連帯債権と解する下級審判例や、債権二重譲渡のお互い対抗しうる譲受人間の結合関係を不真正連帯債権と解する説
連帯債務の成立 
契約他意思表示または法律の規定(民法44条2、715、719)によって成立する。商法にも規定がある。例えば商法511条を参照。同時でも順次でもよい。また433条参照
効力
(1)債権者から各債務者に全部請求できるし(債務者側から全額弁済も可)432条、なお441条も参照
(2) 原則 相対効の原則
多数当事者の債務においては、債権者に満足を与える事由(A群)は、当然絶対効であるが、それ以外の事由(B群に絶対効を認めると、債権の効力が弱くなる。しかし、連帯債務では、以下の絶対効が認められる場合がある
A群
弁済、代物弁済、供託、受領遅滞、相殺(436条1項2項)
B群 民法が連帯債務に特に絶対効を認めているもの
履行の請求(434条) Aへの請求でBCが遅滞に陥り、消滅事項も中断。
更改(435条)Aとの更改契約でBもCも債務を免れ、Aは負担部分の求償が請求できる。
免除(437条)Aに免除でBもCも負担分だけ免除。
求償の循環を避けるという趣旨の規定だが、債権者の意思に反する場合もあるので問題が多い。債権者の意思表示には、1)Aに債権は請求しないし、内部的にもAの負担分を免除させる趣旨の場合(ここで言う437の免除)、2)Aには請求しないが、BCには全額請求するという趣旨の免除がある。この2)は、イ)Aの負担部分は最終的には債権者が負う趣旨、つまりBCからAが求償を受けたらAからの償還請求に応じる場合と、ロ)債権者はAに請求しないが、内部関係には関知しないつまりAが求償受けたら仕方がないという場合がある。2)の場面も意思の解釈として認めるべきであろう。
その他一部の額免除の処理なども問題になる(省略)。
混同(438条) 債務者一人に混同が生じたら弁済と同様に扱う。
時効の完成(439条)Aに時効が完成したら、Aの負担部分だけ債務を免れる。債権者にとっては非常に不利。
440条の原則が適用される例
判決の効力、請求以外の原因で生じる時効の中断。時効停止、時効の利益法規。債務者の過失、遅滞。
(3) 負担部分 求償
一人が弁済等したら、負担部分(内部関係に置いて債務を分担し合う割合)他に求償できる。負担部分は特約、利益割合で決まり、不明のときは平等である。負担部分の変更については通知を要するという考え方も多い。
 範囲 共同免責(債務者への)をえた出損額 + 損害賠償額(442条U項)
共同免責を得た額の割合に応じて求償(判例)
 事前の通知 (443条)怠ると求償の制限
 事後の通知      怠ると求償の制限 怠って二重弁済した人にのみ制限するのが判例。
2 不真正連帯債務
学説、判例
緊密な関係にかけるのに連帯して責任を負うとされているときの処理は、連帯債務と同じでいいのか、一人に生じた事由の効力を他に影響を与えるはAが廣くて良いのか、また負担分がないのに求償関係をどう考えるべきかという問題がある。これらの債務をさして、不真正連帯債務と呼ぶ。ただし、現在では不真正連帯債務と一くくりにして良いのかという疑問が提起されている。 
例 不法行為等 共同不法行為、使用者責任
民法715,718,719,44条等
(2) 一人に生じた事由の効力
債権者を満足させる行為(弁済、代物弁済、相殺、供託)のみ絶対効
(3)負担部分は連帯債務と同様にはない 一定の場合に求償関係
どのような場合か
寄与度
過失割合
保証契約
1 前提
 債務の存在
 消費貸借契約 557条
 借主が貸主から、一定の金銭米などの代替物を受け取り、これを同種、同等、同量の物を返還することを約する契約
 要物契約
2 保証
 保証債務446
 主たる債務とは別個の債務
 特徴 附従性 448
    随伴性
    補充性 452,453
成立
 保証契約 保証人 債権者
 主たる債務の存在
効力
 447条
 主たる債務に生じた事由はすべて及ぶ 457
 保証人に生じた事由
  消滅に関する事由のみ及ぶ

求償について 459,460
 保証人の負担部分 ゼロ
連帯保証について 458
 補充性のない保証 454


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